約30年経った今も、大きなリフォームは
しておらず、そして“この家でよかった”と
迷いなく言えるS様。しっかり組まれた構造と、
丁寧に選ばれた素材は、年月を経ても
揺らぐことがありません。
無垢の床は、時の経過とともにすこしずつ
“素直な表情”を深め、冬の冷たさでさえ、
どこかやわらかく感じられます。窓もドアも、
いまでも変わらずスムーズに開きます。
「家は建てるだけではなく、育てるもの」
そうしてていねいに手をかけてきた時間が、
家のたたずまいと暮らしを、
静かに整えてくれています。




Q1:こちらは築何年くらいになるんですか?S様: たぶん28年くらいですかね。
Q2:当時、ご自身やご家族のライフスタイルにどんな変化があり、家を建てる決断をされましたか?S様:父が亡くなって数年が経った頃、家を建て替えようという話になりました。もともと実家はこの場所にあり、敷地は70坪、いまの倍ほどの広さがありました。ただ、さすがに広すぎて手入れも大変で、費用もかさんでしまう。そこで、敷地を半分にして建て替えることにしたんです。
Q3:数ある工務店の中で、どのようにイソダに辿り着いたのですか?S様:母がいろんな人に相談して、大手の名前もいくつか挙がってはいたんです。でも母としては、地域に根ざした会社のほうが“変なことはしないだろう”と感じていて。それに、長い目で見れば、修理でも何でもすぐに来てくれるアフターケアのほうが大事じゃないか、と言っていたんですね。
大手さんは“建てたら建てっぱなし”という話も耳にしていましたし、当時私はサラリーマンで家のことはほとんど母に任せていたので、“じゃあ好きに決めていいよ”という感じでした。
それで母が“地域密着でお願いできるところはどこだろう”と探した結果、イソダさんにたどり着いたんです。
Q4:そうなんですね。イソダ一択だったのでしょうか?S様:最終的には、そういう選び方になりましたね。一応、大手さんにも話は聞いたんです。でも、うちは本当に“感覚の家族”でして、来てくださった方の“波動”というか、“この人は違うな”という感覚があるんです。
それで大手さんは全部ダメで、なぜかイソダさんだけ“あ、ここは大丈夫そうだな”と感じたんですよ。うまく説明できないんですけど…。他の会社の方は、どこもすごく口がうまいというか、“うちを選んでください!”という押しが強すぎて、話す前から“この人、口先だけで来るタイプだな”と警戒してしまって。でもイソダさんはそれがまったくなくて、よく言えば“いいところも悪いところもちゃんと言ってくれそう”という雰囲気があったんです。「ここはやめたほうがいいですよ」みたいなことも、正直に言ってくれそうだな、と。
だから、結局は“感覚で選んじゃった”というところですね。
Q5:どの段階で「イソダにしよう」と思われたのでしょうか?S様:父の知り合いから「基礎がとにかく大事だ」という話は以前からずっと聞いていたんですね。大手さんも「基礎はしっかりやりますよ」とは言うんですが、父が存命だった頃は、わりと上の立場の方が「うちで見てあげるよ。ダメならダメ、良ければ良いって判断するから」とまで言ってくださっていて。
その話をイソダさんにもお伝えしたところ、「うちは見てもらっても大丈夫です」と言ってくださったんです。そして実際に見てもらったら、「問題ないですよ。しっかりした基礎のつくり方をしているので安心してください」と、父の知り合いの方から太鼓判をいただいて。そこで納得できました。そんな流れで、最終的にイソダさんにお願いすることになりました。
Q6:どのようにプランを進めていったのでしょうか?S様:最初は、母と一緒に“どんな家にしたいか”を話し合うところから始めました。私は図面を引けるほどではないんですが、間取りを描くのが好きで。素人図面ではあるんですけど、“こんな感じかな”“こういうのはどうだろう”と絵にして渡したんです。
母には“2階にリビングダイニング、1階に寝室を”という希望があって、それも盛り込みました。それから、コンセントは後から増やすのが大変と聞いていたので、「とにかく減らさないでください」とお願いして。部屋の四方にあって、その裏にもあって、高さ違いでもあって…と、かなり細かく描き込みました。その間取りをイソダの設計士さんにお渡しして、あとは仕上げていただいた、という流れです。
Q7:間取りやデザイン面では、どのような点を希望されたのでしょうか?S様:できるだけ明るい家にしたかったので「大きい窓がほしい」という要望を出しました。あとは、部屋自体はそれほど広くないので、どうしたら広く見えるかをずっと考えていました。素人だと天井は2メートルくらいで区切られるイメージがあったんですが、「山小屋風に斜め天井にしたほうが広く見えますよ」とアドバイスをいただいて、ああ、それはいいなと思ったんです。
“広く見せたい”というのは、大きな要望のひとつでしたね。
それから、母が「吹き抜けが絶対いい!」と言っていたこと。私は最初、“1部屋作ったほうがいいんじゃないかな”と思っていたんですけど、結果的には吹き抜けにして本当によかったです。
Q8:どんなところが良かったのでしょうか?S様:まずは“明るさ”ですね。ここに1部屋つくっても狭くなるし、暗くて納戸みたいになってしまう。だったら吹き抜けのほうが気持ちがいいなと思ったんです。それに、2階のガラス窓が開くんですよ。すごくおしゃれで、夏はそこを開けて、ほかの窓も全部開けると風が抜けて、クーラーいらず。今年の夏もほとんど使いませんでした。
もしあそこが“はめ殺し”(開かない窓)だったら嫌でしたけど、開閉できるのでとても便利です。
今は通風孔や全館空調など、いろいろ機械でコントロールできますけど、私はあまり機械に頼りたくなくて。昭和の昔ながらの家に生まれたせいか、“朝は夜の空気を流す”という習慣がずっと身についているんです。寒くても、大雨以外は必ず全部の窓を開けて、夜の“気”を流す。
この家は、それがきちんとできるんですよ。もし床暖房だとか、あれこれ優れた機械をたくさんつけていたら、“人間らしさ”というか、“自然との距離感”が遠くなってしまう気がして。私は“人間も自然の一部”だと思っているので、できるだけ自然から離れない暮らしをしたいんです。だから、この昔ながらの“窓の開け閉めで調整できる家”にして、本当によかったと思っています。
それから、この家は地震にも強い気がするんです。うちは、3.11 のときも揺れがほとんどなくて。そういう意味でも、この家でよかったなと思っています。まず、地盤がとても固いんです。岩盤が強い場所なんですよ。でも、同じ地域でも揺れた家はけっこうありましたから、やっぱり“建て方”も関係しているんだと思います。
Q9:“建て方がしっかりしている”というのは、具体的にはどんな点ですか?S様:柱の太さとか、構造の部分ですね。見えないところにちゃんとお金を使っています。イソダさんが「見えるところは後からいくらでもリフォームできます。でも、見えないところ──たとえば構造やサッシなどは、最初にしっかりしておくと後々楽ですよ」とアドバイスをいただいた記憶があります。
Q10:具体的にどんなところにお金をかけたんでしょうか?S様:まずは、このペアガラスですね。いまだに狂うこともなく、“窓が閉まらない”といった苦労がまったくないんです。当時のペアガラスって、いまほど一般的ではなくて、ある意味“最新”で。
この大きな窓も、来た人に「こんな大きい窓、見たことない」と言われるほどです。重さはありますが、そのぶん開け閉めは本当にラクなんですよ。
それから、基礎や構造といった“見えない部分”は、あとから替えられませんし、そこがしっかりしていないと家は長持ちしない。だからこそ、まずはそういう部分にお金をかけたいと思っていました。床についても「無垢のほうがいいですよ」とアドバイスをいただいて、たしかにそのほうがいいなと感じました。
実際、この床は18ミリほどの無垢材で、しかもアメリカの土足用なんです。
Q11:土足用!?おしゃれですね。S様:今見ても細身でおしゃれですよね。材料費も工事費もそれなりにかかるんですけど、そのぶんしっかりしているんです。最初のうちは木が“狂う”(反ったり動いたり)こともあったと思いますが、安い材料だと狂ったら狂いっぱなしで、ねじれたらもう戻らないじゃないですか。
でも、ちゃんとした材料で丁寧につくってもらっているので、今はまったく問題ありません。そのおかげで、うちは本当にメンテナンスが少なくて済んでいるんです。
床は合板じゃなくて無垢のほうが絶対にいい。足の裏で感じるものが全然違うんですよ。スリッパを履かなくても気持ちいい。冬場も冷たさの“質”が違うんです。合板って、触った瞬間に「冷たっ!」っていう刺すような冷たさなんですけど、無垢は冷たいなりに柔らかい。それに、引き渡しの時に“この家は全部無垢なんだ”って改めて実感しました。
Q12:この家はどこまでが無垢材なんですか?S様:全部です。廊下も同じ無垢材で、1階も同じ。もう全部“無垢ちゃん”です(笑)。キッチンまわりの面材や枠だけは少し違いますけど。
そういえば、キッチンも当時としては画期的でしたよね。母が“ガスコンロは危ないから”と言って、かなり早い段階でIHにしたんですけど、これも一度も壊れていません。
エコキュートだけはさすがに最近ダメになりましたが、大きな設備で交換したのはそのくらい。お風呂場だって水漏れひとつありませんし、“物持ちがいい家ですね”とよく言われます。



Q13:メンテナンスについてですが、30年近く経った今、どのような状況でしょうか?S様:小さな修理で来てもらうことはあっても、大掛かりなことは一切していないんです。壁紙も替えていませんし、キッチンもそのままです。
点検は何年かに一度来てもらっていて。たしか10年目くらいの点検のときだったと思うんですが、イソダさんの方に「自分の会社の建物で言うのもなんですが、本当に綺麗ですよね」と言われて、ちょっと誇らしかったのを覚えています。
友達にも「なんでそんなにリフォームしなくて済むの?」とよく聞かれるんです。きっと、建てたときの“物が良かった”んじゃないかなと思います。やっぱり最初にちゃんとしたものをつくってもらうのが大切なんですよね。
周りの知り合いからは「何回もリフォームした」とか「あそこが壊れた」という話をよく聞いていたので、なおさら“最初にしっかりした家を建ててもらった方がいいな”と、あらためて感じています。住めば住むほど、いい家だなって思うんです。本当に。
Q14:“住めば住むほどいい家だ”と感じるのは、どんなところですか?S様:やっぱり“狂いが来ていない”ところですね。
知り合いの家では「窓が狂ってきた」「ガタつく」「閉めづらくなった」という話をよく聞くんですよ。でもうちは、年月が経っているのにスムーズに開くし、まったく狂いが来ていないんです。“これって本当に嬉しいな”としみじみ感じます。
Q15:ほかにも、住み続けるほど“いいな”と思えるところってありますか?S様:いや…それが、わからないんですよ(笑)。全部が使いやすくて、全部が自然なんです。
だから逆に「どこが一番いいですか?」って聞かれると、“その質問が一番きついんだけど…”って思っちゃうんですよね。つまり、“毎日、自然に、何も考えずに使えている”ということ。良すぎて、当たり前になっちゃっているんです。
Q16:この家は、本当に綺麗に使われていますよね。S様:掃除が好きなんです。母の代からずっと。そういう掃除の仕方も含めて、“綺麗に保っている”というのはあると思います。
夜寝ていて、ふっと“あっ”と思うと起きてきて、ちょこっと掃除したりするんですよ。つまようじを持って、「あ、ここの溝にゴミが溜まってたわ」とか(笑)。
Q17:夜中はヤバいですね(笑)。S様:(笑)誰に言われたのかは覚えていないんですけど、“家は建てるのは工務店さんや大工さんだけど、育てるのは住んでいる人だよ”という言葉がすごく心に残っているんです。
住む人の育て方次第で、家がひどい状態にもなるし、丁寧に扱えば、そのぶんちゃんと返してくれる。“それはそうだよね、なんでも同じだよね”って思ったんですよね。だから掃除をするときも、強い合成洗剤は使わず、水で固く絞った布で拭くなど、できるだけ丁寧に扱うように心がけています。



Q18:では、この家は30年近くの間にどう育ってきたと思いますか?S様:素直に育ってくれていると思いますね。こっちが丁寧に接した分、そのまま素直に返してくれている気がします。
うまく言えないんですけど…色とか質感とか、全部“素直”なんですよね。家って喋らないけど、なんとなく「ここ綺麗にしてほしいよ」って語りかけてくるような感覚があるんです。そう言われた気がすると、「はいはい」って掃除しに行く(笑)。人がちゃんと手をかけて、愛情を注いであげれば、家もちゃんと“それなりの味わい”を醸し出してくれる。そういう家なんだと思っています。
Q19:家と住んでる人はイコール、という感覚ですか?S様:そう思いますね。家をちゃんと手入れして、大切にしていると、自分の振る舞いとか、自分が出している“波動”と、家が出すものがピタッとリンクする。そんな感じです。
Q20:“イソダに頼んでよかった”と思うのはどんな点ですか?S様:“来てくれる人がみんな良い人”だということです。これはたまたまかもしれないけれど、毎回安心して家に上がってもらえる。今って、家の中に誰かを入れるのが怖い時代じゃないですか。
でも“イソダさんの人なら大丈夫”っていう安心感があるんです。“あそこなら信用できる”って自然に思えるんですよね。営業で来てくれた砂川さんを筆頭に、“人としてちゃんとしている”というのが大きいです。まずそこに安心感があります。
“ここがね…あそこがね…”なんて言うと、砂川さんがすぐ飛んできてくれる。その誠実さがありがたいんです。
Q21:約30年住んだ立場として、これから家づくりをする人に伝えたいことはありますか?S様:やっぱりまず“大切なのは工務店さん選び”だと思います。そして、自分の考えをしっかり持つこと。
これは本当に大事です。自分を持たないまま家を建てようとすると、本当の意味で“自分の家”にはならないと思うんです。聞きたいことは遠慮せず、全部聞く。これは絶対にやったほうがいい。家って安い買い物ではありませんし、命にも関わるものですよね。
台風や地震、いろんなことが起きる時代だからこそ、“なんとなく”ではなく、しっかり考えて建てたほうがいいと思います。
Q22:“自分を持つ”というのはハードルが高いようにも聞こえますが…。S様:いえいえ、そんなに難しいことじゃなくて、“自分は何が心地いいのか”をちゃんと感じておくことなんです。ノープランで行くから迷うんですよ。
大手さんだと“1プラン・2プラン・3プラン…”と5つくらい並べられて、「これが一番おすすめですよ」なんて、一番高いものを勧めてくるかもしれない。そこで「じゃあそれで…」って決めてしまったら、もうそれは自分の家じゃないですよね。
でも、自分を持っていれば、「5は違うな、1も違うな、じゃあ2・3・4から考えよう」って、ちゃんと考えられる。そういう“自分”を持っていないと、家は建てちゃいけない――私はそう思います。
Q23:もしもう一度建てるなら、またイソダを選びますか?S様:はい。選びます。地域密着型ですから。イソダさんは、何かあればすぐに来てくれる。だから安心なんです。
イソダさんの車が走ってるのを見ると“あ、今日も頑張ってるんだね”って、なんか親戚の車を見ている気分になるんです。これ、ほんとに。
取材・文章/服部雄一事務所